カパルウェブ表紙バティックの作者・賀集由美子さん逝く

賀集由美子(かしゅう・ゆみこ)さんの名を耳にしても、「どなた?」と思う人がほとんどでしょう。しかし、カパルウェブサイトを訪れたことがあれば、ウェブページの背景にある、多くのペンギンと魚たちが遊ぶバティックに親しみを持たれている方は多いと思います。賀集さんは、このバティックの作者です。ジャワのチルボンでバティック工房Studio Pace(ストゥディオ・パチェ)を主宰し、新たなバティックの用途を探りながらチルボンのバティックの在り方、広くはバティック一般の在り方を模索されてきた方です。近年、バティックを用いて世界のファッション界に進出するインドネシア人デザイナーが注目されています。賀集さんが目指したのは、伝統的な意匠を大事にしながらもそれにとらわれることなく、用途においても多様な小物を作るなど、衣服やファッションに限定されない新たな道の模索だったと思います。Paceはヤエヤマアオキのジャワ語名で、チルボンのご自宅の庭にも植えられていたそうです。ウィキペディアの説明では、桃色、赤黄色、赤褐色のバティック用の天然染料として樹皮や根を使うとのことで、賀集さんの好きな色だったとか。

大変残念なことに、賀集さんは2021年6月29日、新型コロナ感染が一因となり、チルボンのご自宅で急逝されました。60歳。まだまだ遣りたいことがたくさんあったはずで、コロナさえなければと、なんとも口惜しい限りです。詳しいことは、「+62」(在インドネシア邦人向けの情報誌・ウェブ)の記事をご覧ください。

カパルウェブの表紙に使用させていただいたバティック・デザインは、門田修さんのピニシの写真もそうですが、カパルのためならと無償で提供いただきました。生前の賀集さんのご厚意にあらためて感謝するとともに、このバティック・デザインは、賀集さんがカパルに遺してくれた大事な作品として、今後も大切にしていきたいと思います。

みなさんと一緒に賀集由美子さんのご逝去を悼み、ご冥福を祈ります。

加藤 剛(カパル代表責任者)