一般財団法人日本インドネシア協会
Japan Indonesia Association, Inc. (JAPINDA)
住友 勇太(日本インドネシア協会)
一般財団法人日本インドネシア協会(以下、JAPINDA)の住友と申します。この度、「カバル・アンギン」への寄稿の機会をいただきましたので、JAPINDAについてご紹介します。本稿が、KAPALとJAPINDA間の協力・連携強化につながれば幸いです。
JAPINDAのご紹介
日本とインドネシアの間で平和条約が発効し、国交が樹立された1958年に、日本インドネシア通商産業協会と(旧)日本インドネシア協会が合併し、現在のJAPINDAの母体となる「財団法人日本インドネシア協会」が設立されました。戦後の日本とインドネシアの歩みは、まさにJAPINDAの歴史と重なります。
JAPINDAは、日本とインドネシアの友好関係強化・交流の促進を目的に、『月刊インドネシア』の発行、講演会・セミナー事業、親善交流事業等を行なっています。
『月刊インドネシア』は、インドネシアの政治・経済・法律・社会・文化・人材交流等様々な分野をテーマに、専門家の寄稿記事や日本とインドネシアの間で活躍される方へのインタビュー記事等を掲載しています(最新号の目次はこちらからご覧いただけます)。本誌は1947年に創刊され、2024年11月号で通巻917号にも及ぶ長い歴史を持っています。『月刊インドネシア』は会報誌ですが、全国の多くの大学、自治体の図書館でも購読いただいています。JAPINDAの会員になると、『月刊インドネシア』を創刊号からPDFで閲覧可能です。個人会員は、年間6000円の会費になりますが、学生会員は年間1200円ですので、是非研究ファシリティの一つとしてご活用いただければと思います。
講演会・セミナー事業では、インドネシアの各分野に精通した講師による月例講演会や、各界の著名人、駐日大使等を講師に招いた法人会員向けのセミナー、特別講演会等を開催しています(過去の講演会一覧はこちら)。
親善交流事業として、毎年のように協会訪問団をインドネシアに派遣し、大統領や主要閣僚の方々との間で、両国間の友好関係促進やビジネス環境改善に向けた対話を続けています。今年も12月4日から6日までインドネシアを訪問し、プラボウォ大統領および主要閣僚の方々と会談を行いました。また、インドネシア人材をテーマにしたインドネシア労働省、駐日インドネシア大使館との共同フォーラムの開催、インドネシアに関連した各種イベントへの協力・支援等も行なっています。
その他にも、入門から応用編のインドネシア語を学べる「インドネシア語講座」の運営、法人会員向けビジネス支援、EPAに基づき来日するインドネシア人看護師・介護福祉士候補者への支援など両国の関係強化・交流促進のために様々な活動を行っています。
JAPINDAは、こうした活動を通じ、各分野で活躍される多くの両国の団体・組織・個人と幅広いネットワークを築いてきました。
JAPINDA会員の興味・関心―経済を中心とする幅広いテーマ
JAPINDAには、インドネシアでビジネスを展開される商社・メーカー・銀行・ゼネコン等の日本企業を中心とした法人会員227社・団体、元駐在員・専門家・学生等の個人会員310名が在籍しています(2024年10月時点)。JAPINDAの会員は、ビジネスを通してインドネシアと関わりを持つ方が多く、全体的に経済分野への関心が高いです。政治や法律、環境問題など様々な要素が事業に影響することから、最新の政治動向や投資・ビジネスに関する法案のアップデート、気候変動への取り組みといったテーマにも関心が寄せられています。最近では、新政権や首都移転の動向が注目されています。『月刊インドネシア』でも首都移転の機会を捉えて、インドネシアの都市開発をテーマに新井 健一郎さんや志摩 憲寿さんに寄稿をお願いしました。
また、近年、在留インドネシア人の数が急増していることもあり、両国の人材分野についての情報収集、インドネシア人材の受入を機にインドネシアについての理解を深めたい、などといった理由から、技能実習生や特定技能労働者の送出、受入に携わる企業・団体の加入が増えています。親善交流事業のところで紹介したインドネシア労働省、大使館との人材フォーラムは、まさに会員の人材分野への関心の高まりから開催に至った経緯があります。JAPINDAとしても、会員の興味・関心に沿った幅広いテーマの情報・サービスの提供を心掛けています。
KAPALとの協力・連携について―JAPINDAのファシリティ、ぜひ積極活用ください
JAPINDAでは以前、長津一史さんのご協力を得て、『月刊インドネシア』でKAPALの紹介記事を掲載させていただいたことがあります。インタビューの際に印象的だったのが、インドネシア研究者にとって重要な成果発表の場が減っているというお話でした。そこで、『月刊インドネシア』や講演会を通じて研究者、特に若手の研究者の方々に発表の場を提供することで、JAPINDAの会員にとってもインドネシア理解を深める機会にできればと考えました。『月刊インドネシア』や講演会では、政治・経済を中心に、歴史、社会、宗教、文化など様々なテーマをとりあげています。JAPINDA理事も務めておられる佐藤百合さんや、白石隆さん、毎月インドネシアの政治事情について寄稿いただいている本名純さんの他、KAPALの運営委員を含む多くのインドネシア研究者の方々にご登場いただいています。
私自身KAPALの研究大会にも参加させていただきましたが、本当にたくさんの方がさまざまな分野でインドネシアに関心を持って研究されていることに改めて感銘を受けました。今後ともKAPALの研究者の方々に、『月刊インドネシア』や講演会などJAPINDAのファシリティを積極的に活用していただきたく、連携を強化していきたいと考えています。インドネシアに対する理解を深めるといった観点から、政治・経済でなくとも、首都圏以外の地域事情やインドネシアの文化、現地のSNS事情など幅広いテーマでKAPALの方々に寄稿・講演をお願いできればと思います。また、『月刊インドネシア』では、「留学生の声」と題して、日本の大学・大学院で学ぶインドネシア人留学生の研究内容や彼らの熱のこもった「思い」を紹介しています。インドネシア人若手研究者も増えている中で、例えば、日本人若手研究者を月刊誌で紹介させていただき、両国間の若手研究者同士の交流に発展させていくこともできるのではないかと期待しています。
JAPINDAでは、月例講演会に加えて、関係団体との共催でセミナーやフォーラムなども開催しており、特に大学との連携を重視しています。日本のインドネシア研究者が集まるKAPALとJAPINDAで、具体的な協力体制を築いて、共に日本とインドネシアの交流を盛り上げていければ幸いです。
一般財団法人日本インドネシア協会
Japan Indonesia Association, Inc.(JAPINDA)
- 設立:1958年
- 会長:福田 康夫
- 会員:法人会員227社・団体 個人会員310名(2024年10月時点)
- HP:https://www.japinda.or.jp/
- Mail: info@japinda.or.jp Tel: 03-6222-8455