「弾丸プレゼン」参加に至った経緯と動機

 私が「弾丸プレゼン」で発表した内容(「ジョグジャカルタ特別州のプサントレンを基点とするワリアの活動とネットワーク」)は、修士論文の研究進捗報告および今後の展望についてでした。研究の内容は、学部時代の卒業論文の研究内容を継続したものであり、調査対象者も学部時代の調査でお世話になった方々です。新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、調査地であるジョグジャカルタ特別州への渡航ができない状況にありますが、リモートでインタビュー調査を実施し、研究を継続しています。コロナ禍で現地での調査ができないのももちろんですが、授業もオンラインが中心で、同じ研究科および他大学院の院生との意見交換の機会を作りにくいのが現状でした。

 このような状況下をふまえ、この度の研究大会および「弾丸プレゼン」を通して、インドネシアをフィールドに研究をする方々からご助言やコメントをいただくこと、また、研究を進めるうえでの新たな視点を得ること—これらが、この度私が「弾丸プレゼン」に参加した動機でした。

本番までの準備

 「弾丸プレゼン」では、発表時間が5分に制限されています。制限があることで、発表資料(PowerPointファイル)や原稿を作る過程で、より端的に、客観的に自分の研究を見ることができるようになったと思います。

 私の場合は、修士論文のための調査を継続中であり、「弾丸プレゼン」では進捗状況および展望のみをまとめる形になりました。しかし、それでも発表内容を5分にまとめるのにはかなり苦労しました。研究大会の一週間前頃までには、7分にまで発表時間を縮めることができました。そこからは、時間を縮めるために内容の吟味や、語彙や言い回しのブラッシュアップをしていきました。くわえて、発表原稿を用意し、大学院の指導教員にご協力いただき、タイムキープをしながらの練習を何度も繰り返しました。

 さらに、発表資料を作る際には、運営委員の方から事細かにアドバイスをいただきました。アドバイスを通じて、発表資料の作り方についての学びがあったのと同時に、自分の研究の方法や方向性に関しても改めて見つめ直すことができました。

 発表の約一週間前には、運営委員の方々のサポートをいただき、本番さながらのリハーサルもおこなわれました。ここでは、発表の流れを確認するとともに、質疑応答の仕方についても助言をいただきました。

 このように本番までに運営委員の方々から手厚いサポートをいただく中で、技術的にも、精神的な意味でも、本番にむけて十分な準備をしていくことができました。

「弾丸プレゼン」の意義、反省

 私にとって「弾丸プレゼン」での発表および意見交換は、自分の研究の方向性を改めて確認し、新たな視点を得るうえでとても良い機会になりました。

 しかし、インドネシアをフィールドにされている方々への発表であるということで、基本的な語彙の説明を省いて発表しましたが、研究の概要説明の際に説明が不足していた箇所があり、その点については反省しています。

 また、コロナ禍ということもあり、このたびの研究大会は前回に引き続きオンラインでの開催になりました。それゆえ、発表後の質疑応答も、基本的にはチャット欄を利用したやり取りに限定され、司会の方々による厳密な時間管理のもと実施されました。互いに顔の見えない状況で質疑応答の直前までは、私はやや不安や緊張を覚えていました。しかし、司会の方々による的確な指示、時間管理のおかげで、限られた時間の中ではあったものの活発な意見交換をすることができました。

 さらに、「弾丸プレゼン」終了後すぐに開始された懇親会では、いくつもブレイクアウトルームがセッティングされていました。そのおかげで、ブレイクアウトルームを一つ貸切る形で、質疑応答の時間でお互いに伝えきれなかったことついて、質問者の方とじっくり話し合うことができました。ブレイクアウトルームを活用することで、少人数でのやり取りを集中的に、効率的におこなうことができ、オンラインでの交流においては、かなりのメリットがあると思いました。

 最後に、本番に至るまで、発表資料を添削してくださった運営委員の方や、何度も発表練習のための時間を提供いただいた大学院の指導教員の先生方、また、本番当日も常に手厚くサポートをしてくださった運営委員の方々に改めて感謝申し上げます。