カパルの運営委員になって2年目。昨年は研究大会プログラム担当の一員として、ただ目の前の業務をこなすので精一杯だったが、そのとき担当した弾丸プレゼン(現・ライトニングトーク)は、若い発表者たちの熱意にふれることができる機会となった。

 今回は、プログラム担当の責任者として全体の進捗を管理する役目を担うことになり、スケジュールにしたがって関係各方面との調整を行った。もっとも心配だったのは、発表がどのくらい集まるかという点だった。ライトニング・トークの応募票は受付締め切りの少し前から届き始めたが、パネルと自由発表は締め切り2日前の時点でゼロ。前日に1件届き、残りは当日に集中することになった。結果としては自由発表14件(ご事情により、1件辞退)、パネル2件、ライトニング・トーク3件とまずまずの数が集まり、プログラム担当一同、胸を撫で下ろした次第である。

 準備の過程で昨年以上に感じたのは、とにかくみんな忙しいということだ。プログラム担当内ではプログラムの種類別に担当者を決め、それぞれが関係する発表予定者と細かいやりとりをする形をとっている。プログラム担当の決定事項は、ウェブ担当者の手で公式サイトにアップしてもらわなくてはならない。だが我々だけでなく、発表予定者も忙しい。当日発表資料の提出締め切りなどは一律に決まっているが、それを守ってもらうのもなかなか難しい。どこまで決まった通りにやるべきなのか、悩みどころも多かった。

 そして迎えた当日。

 多くの参加登録があり、また会場参加の比率も低くなかったことが嬉しい。そして何より一つひとつの発表が面白く、引きこまれた。地域をベースとする研究会ならではの質問も相次いだ。会場参加予定者の中からお願いした司会役の皆さんの手際の良さにも感動したし、会場担当者の機敏で適切な動きも素晴らしかった。学生さんが会場でマイク一つ回すのだって、的確な指示を受けていなければああは動けないのではないかと思う。

 みんなで話し合って組んだプログラムはそれなりにまとまりのあるものになったと思っているが、第1日の自由発表2件が前代表・現代表の揃いぶみとなってしまったのは、まったくの偶然である。とはいえ、もう少しやりようがあったかもしれない。また、会場数を抑える意味もあって、同時開催を2セッションとしたため、全体として余裕のない構成となり、休憩時間が少なくなってしまった。オンラインのみであればそれでも支障はなかっただろうが、会場に足を運んでくれた参加者にとっては、発表の合間に話し込む時間がもっとあった方がよかったと思う。

 佐藤副代表による締めくくりのあいさつの中で、事情が許せば発表者には是非とも会場に来てほしいという言葉があったが、私も同感である。いかにすぐれたコミュニケーションツールであったとしても、Zoomには余白がない。やはり顔を合わせて、よもやま話をしながら次の研究計画を練る、発表に盛り込めなかったことを伝える、質疑の時間では足りなかったコメントをするといった時間こそが、忙しいと言いながらも集う場を用意する意味を形作ってくれると信じている。