[再編]第2回研究大会では弾丸プレゼンが初めて実施されました。この企画の初の発表者として、どのように準備を進めたのか、本番時はどういう気持ちだったかなど、私の経験を共有したいと思います。また弾丸プレゼン直後に行われたオンライン懇親会についても感想をお伝えしたいと思います。

プレゼンの準備と練習

 弾丸プレゼンの準備は、主に(1)草稿を考える、(2)パワーポイント資料を作る、(3)プレゼンの練習を通じて改善していく、という三段階で進めました。このうちプレゼンの練習に関しては、指導教員及び、同じくインドネシアを研究領域とする院生2名にプレゼンを聞いてもらい、練習を重ねました。当初は、自身の研究内容を手短に紹介するつもりでプレゼンの草稿をつくったつもりでしたが、10分以上も時間を要するものになっていました。そのため、いかに発表の内容を省略・要約して半分以下にしていくかということが、本番までの主要課題でした。どの論点を発表から削るべきか考えていると、いらない部分だけではなく足りない部分もまた浮き彫りになってしまうということが多々ありました。また、今回の弾丸プレゼンでは、単に研究の紹介をするだけではなく、その研究の結論も踏まえた構成にすることが求められていたため、5分以内で論旨をまとめることの奥深さを実感しました。何が一番伝えたいエッセンスなのか、それを伝えるためには何を述べておく必要があるのかという取捨選択を繰り返すなかで、協力者から的確なアドバイスをもらえたことで、盲点に気づくことができ、より簡潔で効率的な発表に近づけることができたと思います。

本番での苦労

 研究大会当日はリハーサルから本番まで、司会の方がスムーズに進行してくださり、しっかり準備をしたおかげで発表自体は問題なく終えることができました。苦労した点といえばやはり緊張との闘いだったと思います。インドネシア研究の錚々たる面々が集うなかで話すこと、5分を過ぎると強制終了となることを思うと、落ち着いてのびのびとプレゼンする心の余裕を持つことはできませんでした。そのような味わったことのない緊張感もまた弾丸プレゼンの醍醐味かもしれません。

オンライン懇親会について

 オンライン懇親会は、まず、弾丸プレゼン中に公開チャットで送っていただいた質問やコメントに回答する時間がそれぞれの弾丸プレゼン発表者に設けられ、その後、ズームの部屋をいくつかに分け、1部屋につき6~7人で歓談する形で進められました。

 チャット形式でコメントを受け付けることができるのは、オンラインならではの強みであり、記録に残すことができることを踏まえても画期的な方法だと思いました。私自身の研究についても、5名の先生方から示唆に富むコメント、激励のお言葉をいただきました。あらゆる角度からの鋭いご指摘やアドバイスを得られる機会は大変得難く、この場をお借りして、運営の方々をはじめ、プレゼンを聞いてくださった方、コメントをくださった先生方、懇親会でご一緒させていただいた方に心から感謝を申し上げます。

 懇親会ではさまざまな分野の先生方、院生の方々とお話しする機会に恵まれ、リラックスした空気のなか、当初1時間で終わるはずだったのが、気がつけば2時間、3時間と話が弾んでいました。若手の院生の今後の方向性やキャリアについても話が及び、先生方に相談に乗ってもらったりアドバイスをいただく時間もありました。研究を続けていると、時に自分のやっていることに意味を見出せなかったり、将来に繋がるのか疑問に感じたり、孤独に苛まれることが誰しもあるかと思います。そんなふうに、同じように不安に感じている院生と気持ちを共有できたこと、不安を乗り越えてきた先生方のお話を聞く機会を持てたことが、私にとって大変貴重でした。

今後の弾丸プレゼンへの参加を考えている方へ

 「自らの研究を簡潔に話す」。普段なにげなくやっているようで、いざ向き合ってみると、深みにはまっていくような難しさがありました。それは、本番に向けて準備や練習をしていくなかで、研究の骨子を見つめ直すことになり、そもそもなぜこの研究を始めたのか、どこに魅力や意義があるのかという根本を突きつめていくからなのではないかと思います。弾丸プレゼンは、他の研究者の反応を知るとともに、自分自身との対話の機会にもなりましたし、結果的に今後の研究の道筋もすっきりと見えやすくなったと感じています。そしてこのような経験は、弾丸プレゼンを通じてでなければ得られなかったと思います。応募を考えている方は、ぜひ一歩、踏み出してみてください。

上石景子(南山大学大学院国際地域文化研究科・院生)